4月, 2019
イベント内容
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イベント内容
「船乗りシンドバッドの冒険」には、象を鷲掴みにして空中高く舞い上がる巨大な鳥が登場する。この種の怪鳥譚は、「ガルーダ」「ルフ」「ロック」など、場所に応じて鳥の呼び名こそ違え、東南アジアからインドを経てアラブ世界まで、広く民間に流布する。13世紀のマルコ・ポーロは、『東方見聞録』のなかで、怪鳥がアフリカ東端部の「モガディシオ」(現在のソマリア)に棲息するという伝聞を記しているが、音韻の類似からそれを「マダガスカル」と取り違える者がいた。大航海時代以降、船乗りも、冒険家も、皆が「マダガスカル」を復唱したことから、いつしかそこが怪鳥の住処とされるようになった。西洋人が近世に入ってからもなお、「マダガスカル」を驚異に満ちた島と信じ続けた所以である。実際、アフリカ大陸南東部沖4百キロメートルほどの場所に位置する「マダガスカル」は、南北に長い島であるというだけでなく、標高3千メートルに近い三峰を有する地勢のゆえに、多くの固有種を含む稀少な動植物相の宝庫として知られる。西インド洋に浮かぶ島には、紀元前4世紀には東南アジアのボルネオ島から偏西風を利してオーストロネシア系の人々が来島しており、そこに10世紀頃から東アフリカのバントゥ系の人々が加わって、独自の東南アジア=アフリカ混淆文化が誕生した。そのため、「マダガスカル人」と総称される人々の精神生活は折衷的で、複雑なものとなった。ばかりか、宗教や呪術や儀礼の写し鏡である祭具類もまた、他所に例を見ぬ、特異な造形に結実することになったのである。使われている素材には、たしかにアフリカの部族美術と通有なものが多い。しかし、輪郭やマッスの処理法に認められる繊細な細工は、紛れもなくアジア的である。マダガスカルの「驚異」は自然相のみに止まらない。
西野嘉章
インターメディアテク館長
日時
2019年4月16日(火) 〜2020年4月12日(日)※終了日は仮のものです。
時 間:11:00〜18:00(金・土は20時まで開館、入館は閉館時間の30分前まで)
*時間は変更する場合があります
休館日:月曜日(月曜日祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日
場所
インターメディアテク2階スペース「SPECOLA(スクエア)」
東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE2・3F
アクセス:JR東京駅丸の内南口徒歩約1分、東京メトロ丸ノ内線東京駅地下道より直結
対象
一般
参加費
無料
事前申込
不要
詳細
http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/id/IMT0185
・主催:東京大学総合研究博物館+ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館
・企画構成:イヴ・ル・フール(ケ・ブランリ・ジャック・シラク美術館コレクション部長)
・後援:クリスチャン・ポラック氏+株式会社セリク
時間
16 (火曜日) 11:00 am - 12 (日曜日) 6:00 pm
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