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地球温暖化の時代。その影響を受けているのは私たち人間だけではなく、地球上に暮らす動物や植物も同じです。植物は水不足、高い塩濃度や高温などのストレスにさらされると、ストレスに対抗するためにさまざまな耐性遺伝子を活性化することが知られています。モデル生物として研究によく使用されるシロイヌナズナでも、高温ストレス時にはDREB2Aというタンパク質が多くの耐性遺伝子の働きを活性化させています。しかしながら、このDREB2Aが高温時に、どのような仕組みで耐性遺伝子を活性化させているのかは今まで分かっていませんでした。
研究グループは、このDREB2Aと結合し、その働きを助けているタンパク質として今回新たにDPB3-1を発見しました。このDPB3-1というタンパク質を多く作るシロイヌナズナではDREB2Aの機能が強化され、多くの耐性遺伝子の働きがさらに活性化されることから、高温ストレスに対する耐性が向上していることが明らかになりました。さらに、今回発見したDPB3-1を多く作るシロイヌナズナは、ストレスのない条件下でも問題なく良好に生長することが示されました。
今回の発見は、高温ストレスに対する耐性を植物が獲得する新たな仕組みを明らかにするものです。この仕組みを応用すると、植物の高温ストレスに対する耐性を人工的に高めることが可能になるかもしれません。温暖化等による厳しい高温条件においても生育する作物の開発技術を進展させることに繋がると期待されています。

シロイヌナズナ

 

イメージ
研究.netより引用
http://www.kenq.net/ill/105.html

タイトル
生育を妨げずに、植物を高温から保護するタンパク質を発見

概要
東京大学、国際農林水産業研究センター、理化学研究所の共同研究グループは、植物が高温ストレスにさらされた場合に、それに対抗するための新たな仕組みを分子レベルで明らかにしました。

植物は水不足、高い塩濃度や高温などのストレスにさらされると、ストレスに対抗するためにさまざまな耐性遺伝子を活性化することが知られています。シロイヌナズナでは、高温ストレス時に多くの耐性遺伝子の働きを活性化する重要なタンパク質(転写因子)の一つとしてDREB2Aというタンパク質が知られています。しかし、この転写因子DREB2Aが高温時に、どのような仕組みで耐性遺伝子を活性化させているかは分かっていませんでした。

今回、東京大学農学生命科学研究科の篠崎和子教授らを中心とする研究グループは、このDREB2Aと結合し、その働きを助けているタンパク質(相互作用因子)としてDPB3-1を発見しました。このタンパク質を多く作るシロイヌナズナではDREB2Aの機能が強化され、多くの耐性遺伝子の働きがさらに活性化(転写制御)されることから、高温ストレスに対する耐性が向上していることが明らかになりました。さらに、この植物はストレスのない条件でも良好に生長することが示されました。

本成果は、高温ストレスに対する耐性を植物が獲得する新たな仕組みを明らかにしたものです。この仕組みを応用することによって、作物の高温ストレスに対する耐性を高め、温暖化等による厳しい高温条件においても生育する作物の開発技術が進展すると期待されます。

URL
UTokyo Research「生育を妨げずに、植物を高温から保護するタンパク質を発見」
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/research-news/a-novel-protein-increases-heat-stress-tolerance-in-plants/