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みなさんは体にセンサーをつけたことはあるでしょうか。おそらく、健康診断の心電図検査でなら、という人も多いのではないでしょうか。ゴツゴツしたセンサーをつけて落ちないように気を付けながら計測を終えてほっとする。そんな経験をお持ちの方もいるでしょう。今回紹介する生体情報センサーはそんな私達の経験と一線を画すスマートなセンサーです。
昨今、自分の体につけて利用するウェアラブルデバイスなど(Googleグラスも最近話題になりました)で生体情報を計測する必要性が高まっていますが、従来の生体情報センサーは体を動かすと、体と接触しているセンサーの電極の位置がずれたり、はがれたりする問題がありました。
今回、研究チームはセンサーを体に貼り付けるために柔軟性の高い粘着ゲルを開発しました。センサー回路は極薄のフィルムに構築され、体と接触する電極部分にこのゲルを使用します。このゲルを使用することにより、指の動きのようなダイナミックな動きでもはがれることがなく計測することが可能になりました。また、このゲルは光によって様々な形で作成することが可能なため、必要に応じた大きさでゲルを使用できます。
この研究によって、湿布や絆創膏のような体に直接貼り付けるものにも電子部品を導入することが可能になりました。また、通常生活を送りながらストレスなく生体情報を計測する技術に応用されることが見込まれます。なお、このセンサーは、ラットの実験では心臓のような体内組織にも貼り付けて計測することに成功しているそうです。将来的には体に埋め込む電子デバイスにも応用されることが期待されます。

 

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科学技術振興機構(JST)東京大学 大学院工学系研究科「体に直接貼る生体情報センサーの開発に成功~粘着性ゲルによって、動いてもセンサーが剥がれない~」より引用
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141219-2/index.html

タイトル
体に直接貼る生体情報センサーの開発に成功~粘着性ゲルによって、動いてもセンサーが剥がれない~

発表概要
JST 戦略的創造研究推進事業において、東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授、リー・ソンウォン博士研究員らは、粘着性のゲルを開発し、湿布のように体に貼り付けるだけで生体情報を計測できるシート型センサーの作製に成功しました。
ビッグデータなど情報通信技術の目覚ましい発展に伴い、生体情報を計測する技術の重要性が増しています。計測の精度を良くするためには、センサーを測定対象に直接接触させることが理想的で、近年、センサーを生体に直接貼り付けた際の装着感や違和感を低減するために、高分子フィルムなど柔らかい素材の上に電子部品を作製する研究が活発に進められています。なかでも、生体に直接接触するセンサーの表面には、生体との親和性や粘着性など高度な性能を実現することが求められていました。
研究グループは、生体適合性に優れる素材だけで、粘着性があり、かつ光で特定のかたちに形成できるゲルを作ることに成功しました。このゲルを応用して、湿布のように体に貼り付けるだけで生体情報の計測を行うことのできるシート型センサーを実現しました。このシート型センサーは、人間の皮膚やラットの心臓の表面に直接貼り付けて、ひずみのような物理量や心電など生理電気信号を計測することができます。表面に粘着性があるため、ダイナミックに対象物の表面が動いても、シート型センサーは表面からずれたり取れたりすることなく長時間安定に計測が可能となりました。
今回の研究により、湿布や絆創膏のように体に直接貼り付けるシート型センサーを使って生体情報を計測する技術が一層発展し、ヘルスケア、スポーツ、医療、福祉など多方面で活用されることが期待されます。
本研究成果は、2014年12月19日(英国時間)に「Nature Communications」誌で公開されます。

URL
科学技術振興機構(JST)東京大学 大学院工学系研究科「体に直接貼る生体情報センサーの開発に成功~粘着性ゲルによって、動いてもセンサーが剥がれない~」
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141219-2/index.html