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みなさんは小学校の頃の理科の実験で、屋外で虫眼鏡を使って地面に置いた紙に穴を空ける経験をしたことはあるでしょうか。虫眼鏡で太陽の光を一点に集めることによって、紙に穴を空けるほどのエネルギーを得ることができます。
それと同じような現象が宇宙でも発生していることをご存じでしょうか。今回紹介する研究では、超新星が通常より明るく輝いて観測されたのには、超新星と地球の間に光を集める「重力レンズ」銀河の存在があったことが明らかになりました。
2010年に発見された超新星はIa型と呼ばれる超新星より30倍も明るいという新しいタイプの超新星として注目されました。しかし、今回の研究チームは、この超新星はIa型超新星であり、地球との間にある大質量銀河の存在が周囲の空間をゆがめて明るく見せている「重力レンズ現象」の結果、明るく観測されたことを昨年度発表していました。
今回の研究では、その重力レンズ現象を発生させる重力銀河を遠方の銀河と手前の銀河の光を分離することによって発見することができました。この重力銀河は超新星が出現した銀河よりも小さく暗い銀河であり、重力レンズ現象で超新星を明るくみせる銀河の最初の例としては予想外であったそうです。
重力レンズ現象によって、超新星の光が宇宙の異なる経路を通過してそれぞれの像を結ぶため、ひとつの超新星が最大4個の像に分かれて観測されることが知られています。それぞれの像が現れる時間差から、宇宙のサイズを測ることができるようになることが期待されているそうです。

イメージ
東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構「明るすぎる超新星、手前に虫めがねがあった! 〜重力レンズを生み出す銀河をついに発見〜」より引用
http://www.ipmu.jp/ja/node/1870

タイトル
明るすぎる超新星、手前に虫めがねがあった! ~重力レンズを生み出す銀河をついに発見~

発表概要
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構のロバート・クインビー特任研究員らの研究チームは、星が一生を終えるときに爆発して明るく輝く「超新星」が、通常の30倍の明るさで輝いた現象のしくみを解明しました。
今回、本研究チームの観測により超新星「PS1-10afx」と地球との間にある銀河を初めて発見し、この銀河の重力によって虫めがねのように超新 星の光を集める「重力レンズ現象」のために、超新星「PS1-10afx」が通常よりも非常に明るく輝いて見えていたことが分かりました。
超新星「PS1-10afx」は、ピーク時の明るさがよく揃っていて、宇宙の距離測定にも用いられるIa型(いちえいがた)超新星でした。2010年に発見された当初から、その飛び抜けた明るさのために、新種の超高輝度超新星なのか、通常のIa型超新星が重力レンズで明るく見えたのか、論争がありましたが、今回の発見は本研究チームが2013年に発表した後者の説を裏付けるものです。
今回の発見はまた強い重力レンズ効果を受けたIa型超新星の初めての発見です。研究チームは、将来の観測ではその手法を工夫することで同様のIa超新星の重力レンズ現象がこれまで予測されていたよりはるかに多く発見できる見通しを示しました。このような観測が実現すれば、宇宙の加速膨張を直接測定 できるようになると期待され、今後、宇宙膨張の研究において超新星の観測がさらに重要になります。
本研究成果は、米国科学振興協会 (AAAS) 発行の論文誌 Scienceの2014年4月25日号に掲載されます。

URL
東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構「明るすぎる超新星、手前に虫めがねがあった! 〜重力レンズを生み出す銀河をついに発見〜」
http://www.ipmu.jp/ja/node/1870