東京大学公式の情報サイト「東大ナビ(UTokyo navi)」は、本学の部局や研究所が開催する多彩なイベントの情報を集約し発信しています。


大人のオスマウスはどうやってメスマウスが大人か子供かを見分けているのでしょうか?人間の100分の1と言われる視力だけでは、文字通り「見分け」ることは難しそうです。

個体同士がお互いの性別や年齢を正確に把握することは、個体間の様々な行動を健全に管理し、生物種を維持していく上で非常に重要な能力です。この能力に大きく関わっているのがフェロモンと呼ばれる化学物質で、現在までに色々な動植物で研究が進められてきました。

今回の研究では、幼少メスマウスの涙腺から特定の化学物質が分泌され、それがオスマウスの鼻腔内にある「鋤鼻器官(じょびきかん)」というところで受け取られると性行動が抑制される=相手を幼少マウスだと識別するということを解明しました。鋤鼻器官で受け取られた刺激が脳の本能行動や情動を制御する部分へと伝えられ、性行動が抑制されるという仕組みです。

残念ながら人間ではこの鋤鼻器官が機能を失っているため、人間への直接の応用は効かないようです。しかし、今回の研究のように匂い・味・フェロモンといった化学物質が情動を引き起こすメカニズムを明らかにしていき、様々な生物種間で比較していくことは、医療や食などの多様な産業への応用が期待されます。

イメージ
東京大学大学院農学生命科学研究科 プレスリリース「オスマウスの性行動を抑制する幼少フェロモンを発見」より引用
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20131003-1.html

タイトル
オスマウスの性行動を抑制する幼少フェロモンを発見

発表概要
匂いやフェロモンといった化学物質が情動や行動を引き起こすまでの生体内のメカニズムを解明する研究を進めるなかで、今回、オスマウスの性行動を抑制する幼少フェロモンを発見しました。
大人のオスマウスは、性成熟前の幼少メスマウスに交尾をしかけることはありません。すなわち、性成熟前の幼少メスマウスは性成熟前であるという何らかの信号を発し、それによってオスマウスの性行動が抑制されていると考えられます。しかし、その信号がどのような物質であるのか、またその物質がどこで感知されて、処理されるのかは分かっていませんでした。
東京大学大学院農学生命科学研究科の東原和成教授らの研究グループは、ハーバード大学とアーヘン工科大学と共同で、性成熟前の2-3週令の幼少メスマウスの涙腺から、大人のオスマウスの交尾行動を抑制する幼少フェロモンが分泌されていることを発見しました。そのフェロモンは、大人のオスマウスの鼻腔の下方にある鋤鼻(じょび)神経系で感知され、脳にその情報が伝わり、その結果、オスマウスの性行動が抑制されます。
本研究の成果は、マウスの性行動の理解を深めるもので、倉庫や製造所などで問題になっているマウスの繁殖の制御に応用できる可能性が期待されます。

URL
東京大学大学院農学生命科学研究科 プレスリリース「オスマウスの性行動を抑制する幼少フェロモンを発見」
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2013/20131003-1.html