東京大学公式の情報サイト「東大ナビ(UTokyo navi)」は、本学の部局や研究所が開催する多彩なイベントの情報を集約し発信しています。


Summary

  • 標本をテーマにした2つの展示が本郷周辺で開催中

  • 昆虫の展示は賑やか、鳥の展示は静かな雰囲気

  • 前提知識不要!楽しむポイントをご紹介

 


夏を充実させるための手軽なご提案

夏季休業もそろそろ後半戦。日常から解放されて、自由に過ごせるのが長期休暇の醍醐味ですよね。とはいえ、この酷暑。アクティブなみなさんでも、時にお金と体力がなくて遠出は面倒くさい…ってなるときがありますよね。そんなときは定期券内で行けて無料で楽しめる学内の展示を見るのもいいのでは?
今回は、珍しい生き物が一堂に会する標本展を2つご紹介します。彼らの「生きざま」に思いを馳せて、気軽に非日常を満喫してみてはいかがでしょうか。

昆虫はやっぱりすごいぜ!

夏休みといえば昆虫ですよね。自然が減った今日でも、虫取網を担ぐ子どもたちとたまに遭遇します。NHKや科博で大人気の昆虫が、本郷の総合研究博物館でも見られちゃうんです。
『珠玉の昆虫標本——江戸から平成の昆虫研究を支えた東京大学秘蔵コレクション』と題した展覧会は、普段キャンパス内では見掛けない、園児〜小学生で賑わっています。まず、入口から1階の常設展示を横目に見ながら一番奥を目指して行きます。大きな牛の剥製を目印に左に曲がると、ありました。部屋の四方、床から天井近くまで、ずらりと標本箱に囲まれてしまいました。生物好きの筆者でも少し恐怖を感じてしまうほど圧巻です。

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展示の様子。無数の昆虫たちがお出迎え。

標本展は玄人向け、と思いきや…?

こちらの展示、近現代の昆虫学を牽引した学者・蒐集家たちの標本が一堂に会する、マニアにはたまらない企画となっています。標本の製作者に関する簡単なキャプションはあるものの、展示標本の解説は少なく基本的には鑑賞者に感想を託すタイプの展覧会。虫好きの友達を誘って解説してもらえば良かったな…と思いつつ、チョウやカブトムシなど、メジャーな昆虫標本を見て綺麗だな、と鑑賞していたときのこと。「へー面白いねー」というお客さんの声が聞こえてきました。声のする方にあったのは、セミが羽化して成体になるまでの過程を標本にして、順番に並べたものでした。こんな標本、筆者は初めて見ました。夏の風物詩であるセミは、この時期、抜け殻、飛ぶ姿、死んだ後の状態ならよく目にします。標本とはいえ、セミの一生を実物として目にすることができるのは滅多にない機会だと思います。
もう一つ印象的だったのは、綿の上に置かれた昆虫たちでした。通常、昆虫標本は虫ピンで留めますが、この標本はそういった作製技術が伝わる以前のもの。なんと江戸時代末期の標本だそうです。200年前に生きた昆虫がほぼそのままの姿で残っているなんて、素人ながらロマンを感じてしまいました。
おや、ちょっと楽しそうだぞ?と感じた虫OKな皆さん。本郷キャンパスに訪れた際にちょっと寄ってみてはいかがでしょうか。

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江戸時代末期の昆虫標本。

静けさの中に鳥の迫力

次に向かったのが、文京区教育センター。本郷キャンパス鉄門から歩いて数分の、閑静な住宅街の中にあります。ここの2階に、カーテンで仕切られた静かな部屋がありました。今回の目当ては、「標本の世界 鳥」という展覧会。中を覗くと筆者と展示物との間に何の仕切りもなく、テーブル上に鳥、鳥、鳥!まるで生きているかのような美しい剥製から、骨格標本、さらには鳥に関する工芸品まで、部屋のサイズを忘れさせる広大な世界がありました。

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展示の様子。美しい剥製たちが迫力を魅せつける。

解説ビデオで紐解く、展示のひみつ

先の昆虫標本の展示とは違い、鳥の外見を魅せる標本以外にも、液に浸かったものや、骨格や首から下だけ、羽根だけ、など多様な標本があるのが特徴的です。どういう意味があるんだろうなと思っていると、室内に流れるビデオに答えがありました。ビデオでは、この展示の企画者である先生方が、幾つかの視点からこの展示の意味を語っていました。標本は、観察対象である生物をどのような手法で研究するかによって、保存の仕方が変わるのだそうです。体表なら剥製、内部構造なら骨格標本、細胞なら液浸標本…など。観察対象をもっとも確実に保存するためにはどうしたらよいか。鳥の剥製を作るために一つ一つ丁寧に皮を縫っている先生の姿から、研究対象を愛する気持ちが伝わってきました。他にも、鳥の羽根の美しさの秘密、鳥が見ている世界、人と鳥の文化的つながり、などが解説されていました。なお、ビデオだけでは物足りない!という方は以下の日程で講演会が開催されます。ぜひ直接疑問をぶつけてみては?

◎講演会(13時30分から14時30分)
9月15日(土) 工藤光平 「人と鳥が築いた文化」

初めてさんでも楽しめる鑑賞の秘訣

最後に、筆者が展覧会に行ってみて感じたアドバイスを。

・同日に2ヶ所行ってみよう
一ヶ所あたりの鑑賞時間は、駆け足モードで1時間程度。同じ『標本』という視点で共通点と相違点を探してみると、新しい味わいに出会えるかも?

・キャプションやビデオはぜひ見てみよう
標本展は実物そのものに意味があり、素人は置いてきぼりになりがちです。自分なりの鑑賞のキーワードを見つけるためにも、スルーしないように。

・昆虫or鳥好きの友達を連れて行こう
やはり情熱を持っている人の解説には心惹かれるものがあります。展覧会を通じて友情を深めてみては?

 


特別展示『珠玉の昆虫標本——江戸から平成の昆虫研究を支えた東京大学秘蔵コレクション』

(2018.7.14-10.20)(10時〜17時、休館日:月曜日)
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2018konchu.html

スクール・モバイルミュージアム『標本の世界 鳥』
(2018.6.22-2018.10.20)(9時〜17時、休館日:日曜日・祝日)
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2018tori.html