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2017年もいよいよ年の瀬が近づき、今年あったことを整理してみる人も多いかと思います。好きになれたもの嫌いになったもの、上手くいったこと失敗してしまったこと。様々な物事が頭の中を駆け巡ることでしょう。嫌いになったものや失敗してしまったことを想像して自己嫌悪に陥る人もいるかもしれません。しかし、その自己嫌悪、本当にその物事の結果生まれるものなのでしょうか。さらには、好きになれたものや上手くいったことは、ありのままの自分が求めている物事だったでしょうか。

今回ご紹介する書籍は、東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授による『あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。』という本です。華々しい人生を歩んできた著者が様々なものを手に入れた後、自身がその活力の根源を見つめ直し発見した生きづらさの根源が、多種多様なトピックに分解されQ&A方式で紹介されています。

自己嫌悪はそこに陥るような結果(嫌いなものや失敗)を受けて生まれるものではなく、元来備わっているものであり、自分の周辺に関するプラスの感情もマイナスの感情もそれに支配を受けているそうです。マイナスの感情だけでなく、プラスの感情が自己嫌悪に端を発するのはどういうことなのでしょうか。

みなさんの身の回りに、上昇志向が強く常に忙しそうにして輝いている友人はいますか?そのような社会的な成功者と言われるような人にこそ、自己嫌悪に苛まれている人が多いそうです。自己嫌悪のある人こそ、成功しなくてはならないというプレッシャーを感じているため、それが成功の要因になるのです。これだけだと自己嫌悪が幸せにつながるように感じてしまうかもしれませんが、自己嫌悪を感じないで済むように高いハードルを設定しそれを超えることで安堵を得るという構造であるため、結局その後もより高く身の丈に合わないハードルを設定し続けなければならず、これは持続的な幸せとは言い難いでしょう。つまり、自己嫌悪を感じたくないが故に身体性を無視し、背伸びをし続けるのです。これは東大生のように、プライドを持って「成功」を積み重ねてきた学生にも多く当てはまるのではないでしょうか。本当に自愛を貫き、好きなことをやっているという自信がある人以外のみなさんは、自分が今設定しようとしているハードルが身の丈に合っているものなのか、本当にその先に満足のいく幸福が待っているのか、検討してみてはいかがでしょうか。

あなたが生きづらいのは「自己嫌悪」のせいである。 他人に支配されず、自由に生きる技術(大和出版)