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先端研を、ご存知ですか。
駒場の学生生活を経験した皆さんは、駒場“Ⅱ”キャンパスの存在を何となく知っているでしょう。それこそが先端研、正式名称「東京大学先端科学技術研究センター」です。そう言われても、ほとんどの人がピンと来ないと思いますが、無理もありません。先端研としては博士後期課程しか学生を受け入れていませんから、興味がなければ一歩も足を踏み入れず卒業することになるのです。

ところで、駒場の学生にとって大事なイベントの一つが進振りですよね。すでに乗り越えた方も、これからの人も、進振りをきっかけに何を生業にするのか真剣に考えたことでしょう。東京大学は多岐にわたる選択肢を与えてくれます。しかし、どの学部学科に自分が当てはまるのか考え抜いても、試してみても、どこかはみ出す自分を見つけては悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。筆者は既に本郷の院生です。進振りや院進を振り返っても、就活に臨んでも、特定の所属先に完璧に当てはまるという経験は中々ないものです(そういえば、自由に言えるはずの自己紹介すらキレイにまとめられないぞ…?)。そんな時、先端研が編集した本書を思い出して欲しいのです。その違和感は、ブレイクスルーへのチャンスかも知れませんよ。

本書は、様々な経験・所属を経て先端研に籍を置くようになり、日夜独自の研究分野を構築している1人の研究者の研究内容や半生に関するインタビューをオムニバス形式にまとめたものです。登場する皆さんの専門に関するキーワードは、渋滞学、情報ネットワーク、システム生物医学、科学技術論、バリアフリー、当事者研究、都市保全システム、人工光合成、再生可能エネルギー、計量生物医学、量子情報物理工学です。先端研、要するに、科学であるならなんでもあり。基礎研究・応用研究・理系・文系・産学連携のカテゴリーを上手に行き来し、時に融合させながら、世界トップクラスの研究を開拓していく研究所なのです。

あ、登場人物が偉大すぎるし研究者になる気もないし、自分には関係ないや、とブラウザを閉じないでくださいな。先程のように、本書の登場人物にさえ自分を当てはめようと無理しなくて良いのです。ただひと言でも心をかすめるものがあれば儲けものです。仕事でもプライベートでも、社会的役割を確立し、自らが納得することは人生においてとても大事なことです。個人的な生きづらさ、既存の枠組みに対する違和感などを発端に、無理解と孤独を乗り越え、新規性のある研究と認められるほど思考体系を成熟させた先達の言葉は案外普遍的で、読者を新しい発想へ導いてくれるものがあります。

この記事を読んで興味を抱いた方は、是非本書を手に取ってみてください。その上で先端研に興味を抱いた方は駒場Ⅱキャンパスを散歩するなりランチを食べに行くなり、心身ともにちょっと新しい風を入れてみてはいかがでしょうか。

ブレイクスルーへの思考 東大先端研が実践する発想のマネジメント(東京大学出版会)
2016/12/22
東京大学先端科学技術研究センター+神崎亮平(編)