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旅行や出張などで利用することの多い飛行機。今秋、いよいよ三菱航空機製MRJ(三菱リージョナルジェット)の初飛行が予定され、約50年ぶりとなる国産旅客機の開発へ向け大きな一歩を踏み出します。新幹線や客船のように日本製飛行機が世界へ羽ばたく未来はくるのか。工学系研究科航空宇宙工学専攻の鈴木真二教授にお話をお聞きしてきました。

日本はかつて世界有数の航空大国でした。最近映画にもなったゼロ戦の開発に代表されるように、運輸から軍用まで国産の飛行機が広く日本の空を支えていました。しかし敗戦後、航空機の開発はもちろん航空工学教育まで含めた全ての航空活動が禁止されてしまい、更にその状況が1952年のサンフランシスコ平和条約発効まで続きました。その後、様々な航空活動が再開されていく中で、象徴として始まったのが国産旅客機の開発だったそうです。
最初に開発された国産旅客機YS-11は1962年に初飛行がおこなわれ、1964年の東京オリンピックの際には聖火を運搬するなど一種のシンボルとして見られていました。しかし、開発主体が半民半官の特殊法人であったこともあり、採算性の問題からわずか10年たらずで製造終了が決定、継続機の開発もおこなわれませんでした。それからしばらく、日本の航空機業界は海外の大手航空機メーカーの部品製造に携わることになります。

部品製造に長らく関わる中で、国産旅客機の機運が再び高まり、日本の技術力で十分に勝負できる100席以下のリージョナルジェット(地域間輸送用旅客機)領域への市場参入を目指し、2008年にMRJの開発計画がスタートしました。YS-11での反省を踏まえて、民間事業だけによる開発になったそうです。鈴木教授は、重工企業や官公庁以外に、エアライン・商社・金融・研究機関・大学といった多様な業界から人が集まり、研究・製造から販路開拓・運用さらには制度設計までを議論できる研究会を東京大学内に設置しました。
その一環で東京大学に開講された寄附講座では、研究会やシンポジウムを開催するだけではなく、上述した多様な業種が集まる中でも活躍できるエンジニア養成を目的とした講義も開講されており、海外研修や交渉学の授業が人気を集めているとのことでした。また、講義には航空宇宙工学専攻の学生だけではなく、工学系の他専攻や理学系、経済学系の学生も参加していて、それぞれが航空業界への関わり方を模索しつつ講義に取り組んでいるそうです。

専門性の高い人が集まり、専門領域を超えて1つのチームを組んだときにイノベーションは生まれるもの。幸いにも航空業界は色々な人が集まるところなので、そういう体験ができる良い場所のひとつです、と鈴木教授。また、学生のうちからそのようなチームに入る機会を持って欲しい、とも。
航空宇宙工学専攻には、YS-11で達成できなかった「国産旅客機を製造し続ける」ことを目指して様々な分野の人が集まり、また関連した講義がおこなわれています。飛行機が好きな方はもちろん、多様性のある環境で世界に向けた大きなことに取り組みたい方は、国産旅客機の未来をここで考えてみてはいかがでしょうか。


写真:YS-11の模型(左)と今秋試初飛行が予定されるMRJの模型(右)

タイトル
日本の知、空を翔(かけ)る –東京大学が拓く航空宇宙工学-

URL
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/feature-stories/japanese-aviation-still-soaring-after-a-century/index.html